g04-gi-thumbnail

モデルや芸能人の顧客を多く抱え、ヘアショーや雑誌などで常にトレンドをリードしているヘアサロン“ZACC”。
その華やかな舞台裏には、オーナー高橋和義氏のナチュラルビューティーに対する徹底したこだわりと、その原点ともなるグリーンな風景があった。

 

安心・安全をお客さまに届けたい。

——都内でコンセプトの異なる6店舗のサロンを経営する傍ら、天然植物由来のオリジナルプロダクツを開発したり、減農薬野菜を中心としたデリカフェをオープンするなど、多岐にわたって活躍されていますが、グリーンへのこだわりは以前からお持ちだったのですか?

実は、僕自身がアレルギー体質なんです。昔から手荒れもひどくて皮膚科に通っていたのですが、なかなか治らなくて。でも、サーフィンをしに海に行くと、手荒れの部分が一度は紫色になるものの、そのあとすごく良くなるんですよ。海水が治してくれるんですね。その頃から、自然界にあるものにはかなわないと思うようになりました。
原料からこだわって開発したザック・オリジナルのヘアケアシリーズも、自然の力を思う存分、引き出したものです。天然植物由来の成分を主剤としているシャンプーは顔も洗えるほど肌にやさしく、コンディショナーやトリートメントはメドウフォームという植物の種子油からとれる油剤を配合しています。
実は、市販のシャンプーの中には、頭皮にそのまま残って皮膚を老化させてしまうような成分が入っているものもたくさんあります。一見、ツヤ感が得られるのでごまかされがちですが、ずっと使い続けていると髪や頭皮に良くないのは明らかです。今は全成分表示で何が配合されているか一目でわかるため、商品の選択は消費者にゆだねられています。自分の髪や体に良いものと良くないものを自分の目でしっかり見極めて、安全な商品を選ぶことが大切なのではないでしょうか。

——自分の体は自分で守らなければなりませんよね。高橋さんが「食」へのこだわりを持ち始めて、体の内側からのトータルビューティーを考えられるようになったきっかけは?

8年ぐらい前、インターン生で入ってきた女性のスタッフが貧血になってしまったことがあったんです。貧血には玄米が良いと聞き、僕もそのスタッフと一緒に1日2食、玄米ご飯を食べ続けたところ、3カ月ほどで、検査入院までして薬を飲んでいた彼女がすっかり良くなったんです。玄米ってすごいなと思いましたね。僕は昔、完全なる肉食だったのですが(笑)、その頃から野菜を食べるようになり、健康にも気をつかうようになりました。
美容師という職業は昼食もまともにとれないことが多く、夜も遅くて、どうしても不規則な生活になりがち。寝ない、昼食は食べない、帰りはコンビニ弁当…、それじゃあ体が持ちませんよね。よく働くスタッフほど体をこわして辞めていくのを見ていましたから、僕に何か手伝えないかなと、7年前に社員食堂を始めました。コンビニでパンを買ってくる代わりに、炊きたての玄米ご飯とみそ汁、おかずを付けた食事で毎日を健康的に過ごしてもらいたいと。
そして昨年の夏、以前から考えていたトータルビューティーの一環として、お客さま向けのデリカフェをスタートさせました。福島県の契約農場“ザック畑”から毎日直送されてくる減農薬野菜やとれたての新鮮な食材を中心に提供させていただくことで、ヘアサロンで美しくなられたお客さまに体の中からもキレイになってもらいたいと思っています。もちろんカフェになってからも、社員全員のお昼はここでお弁当を作って毎日配っていますよ。

自分をゼロにしてリセットしてみよう。

——前号で「ROSSO」の原田さんが、カウアイ島の自然に魅せられた話をされていましたが、高橋さんご自身の基盤となるようなネイチャーな場所はありますか?

僕が自然の底力を感じるのは西表島ですね。なんといっても島の90%が亜熱帯の原生林ですから。しかも他の土地と比べても、マングローブの森など緑が一段と濃いような気がします。1本1本の木に底知れぬエネルギーが秘められていて、その手つかずの圧倒的な大自然を前にすると何も成すすべがないような、そんなパワーが感じられる島です。島のジャングル奥にある秘境というような場所に日本最南端の温泉と言われる西表島温泉があって、その浅くてぬるい温泉に寝そべっていると、虫の声と一緒に野生動物の声が響いてきます。もちろん宿泊先の部屋にはヤモリという来客も絶えません(笑)。
沖縄にはたくさんの自然が残っていますが、本島の市街地からレンタカーを借りて一歩離れると、風景が変わるのに気づきます。石垣島に行くと、また風景が変わります。そして石垣島から船で15分の竹富島では、車が1台も走っていません。自転車で人がのんびり行きかい、民家の軒先にカレー屋が突然現れたりと、日本の文化や歴史がどんどん戻るイメージです。さらに西表島に行くと、そこはもう日本じゃない感じ。でも、どこかなつかしさを感じるんです。夜空を見上げれば何分かに1回は流れ星が落ちてくる。川によっては潮の満ち引きで川幅が何キロも変わり、干潟にはカニが現れる。手つかずの自然ほど、人の心を打つものはありません。

——大自然の中にいると人間の無力さを思い知らされますよね。

そうなんです。西表島に行くと、自分が何もできないことに気づきます。自分が日頃持っている価値観なんてどこかに吹き飛ばされてしまう感じ。そして自然の中に投げ出されたときにゼロになれる。無になれる。自然から力をもらったとか、よく言うけれど、力をもらうというより、人は自分がリセットできる場所を探しているんじゃないかな。自分がゼロになれる場所、クリアできる場所を追い求めているのだと思います。自分をまったくのゼロに戻せるのは自然しかありませんから。
近頃は街の中にも少しずつグリーンは増えているけれど、歳をとって戻っていくのはやっぱり人の手が加わっていないような自然だと思います。そんな野生の自然がなくなって、戻るところがなくなってしまうのはとても怖いこと。西表島のような大自然に触れて感動した人が、その感動を一人でも多くの人に伝えていくことで、みんなで守っていきたいものですね。

高橋 和義 氏
Kazuyoshi Takahashi
現在、青山、原宿、代官山、銀座にそれぞれ個性を生かした計6店舗を展開中。サロンワーク以外にも精力的に活動。美容技術の連載を持つ傍ら海外に活躍の場を広げている。中性パーマをはじめシャンプー剤やセット剤などのオリジナル商品も開発。

http://www.zacc.co.jp

green教えてください
高橋さんが日常の中でグリーンを感じる瞬間

ザックヴィ(vie)のテラスでグリーンに囲まれているときです。1階にはデリカフェ、2階にはヴィ、3〜4階にはプリム(prim)と3店舗が入っているこのビルは表参道の裏手にありますが、ここに座っていると都会の真ん中であることを忘れてしまいそうなぐらい静かで、気持ちの良い風が吹いてきます。
(グラスルーツ 編集部)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

関連記事