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昨年9月に原宿店を移転し、下北沢の街でグリーンをテーマにしたサロンをリニューアルオープンした「ROSSO」。

近ごろカウアイ島を訪れてインスパイアを受けたというオーナーの原田タダシ氏に、今後のグリーンサロンの展開について尋ねた。

原始の島“ガーデン・アイランド”
に魅せられて。

——原田さんは毎年、フォトブック制作のためにいろいろな国を旅しているそうですね。昨年はインド、その前はロシアのウラジオストック、そして最近はプライベートでハワイ諸島のカウアイ島に行かれたとか。下北沢にグリーンなサロンをオープンされてもうすぐ一年になりますが、やはりネイチャーな部分に魅かれてカウアイ島を選んだのですか?

インドに行ったときもそうでしたが、今回のカウアイ島も何かに呼ばれたような気がしました。過去に感じてきたことや体験してきたこと、そして僕の中で最近ひらめいたさまざまなキーワードが積み重なった結果がカウアイ島だったんです。3年前だったら、この島を選んでいないと思うし、今このタイミングだからなのでしょうね。下北沢店を植物でいっぱいにしたのも、自分の中でグリーンに対する何かが高まった結果ですし、リニューアルオープンと同時に『grassroots』が創刊されて、今こうしてインタビューを受けているのも、すべてが偶然ではなく必然であるような気がしています。

——インスピレーションを感じて選んだカウアイ島はいかがでしたか?

カウアイ島は、ハワイ諸島の中でも最初に火山活動で生まれた島です。雨が多いため緑が豊かでさまざまな熱帯植物が生い茂り、別名“ガーデン・アイランド”とも呼ばれています。1〜2時間もあれば半分は回れるような小さな島ですが、美しい海岸線、うっそうとした熱帯雨林、赤茶けたむき出しの岩肌が続くワイメア・キャニオンなど、多様な顔を持つ神秘的な島ですね。映画『ジュラシック・パーク』の舞台としても有名です。ビーチでは、絶滅が危惧されているハワイアン・モンクシールというアザラシが一日中寝そべっていました。彼らは日の出とともに海からやってきて、日の入りとともに海に帰っていく。地球の鼓動に合わせて行動している彼らを見ていると、これが本来の生物の姿なんだなと改めて感じました。そんな雄大な自然の懐に抱かれて、ロッソが今後どのように進化をしていくべきなのか、その方向性を確認したいという期待も込めて、カウアイ島での5日間を過ごしました。プライベートですから、ただゆっくりするだけならオアフ島でもどこでも良かったのですが、できるだけありのままの自然を体感したかった。そうして過ごした結果、言葉ではうまく表現できないのですが、島の原風景やそこから得られたスピリチュアルな感覚は、自分の中の記憶に十分染みたと思います。それがこれからどういう形に表れていくかは、まだ自分自身にもわかりませんが、ただそこに佇んでいるだけで心に染みる場所、カウアイ島はそういう不思議な魅力に満ちた島です。

グリーンアクションは、
その人それぞれのタイミングで。

——他にもいろいろな国を旅してこられたわけですが、人々の環境への関心や取り組みなどは、やはりその国によってさまざまでしたか?

そうですね。インドでは、少し前まではカレーを食べるお皿も葉っぱを使っていましたが、最近はそのお皿がプラスティック製に変わり、それをそのまま捨てるためゴミ問題にまで発展しているようです。先進国の環境への意識が高まる一方で、急速に発展している途上国の豊かな自然が失われていく…、そういう一面もありますね。
また、欧米を旅しているといつも思うのですが、あちらではビルのドアを開けたとき、後ろの人のためにドアをそのまま押さえておくような、自然と他人を思いやるような習慣がありますよね。日本人はそもそもそういう感覚に疎いような気がします。これはグリーンへの意識にも通じることなので、日本人にとっては大きな壁だと思います。だから、日本で若い人にグリーンなマインドを広めようと思ったら、いったんファッションに包んだ上で提供してあげた方が浸透しやすいのかもしれません。そして僕たちは美容という仕事を通して、ファッションとしてのグリーンを発信できる立場にあるのだと思います。

——下北沢店でのお客さまの反応は?

ほとんどのお客さまはグリーンに対して関心を持っていますね。「この植物なんていう名前?」「この店、なんだか空気が気持ちいいわ」とおっしゃる方もいますし、植物で覆われた店の外壁を見て写真を撮っていく通りすがりの若者もいます。男女を問わず、思った以上にグリーンへの溶け込みはありますね。
ただ、僕としては、お客さまにもスタッフにも、それを押し付けたり強制はしたくない。グリーンへの思いは、その人それぞれが、それぞれのタイミングで感じていくことだから。下北沢店を訪れたお客さまが店内の植物を見て「私も帰りに何か植物を買って帰ろうかな」と思ってくれたり、カウアイ島の写真を見ながらお客さまとグリーンの話をしたり、そういう身近なところから始められればいいと考えています。グリーンを感じるきっかけがこの店であってくれれば嬉しいですね。
火山活動で生まれたカウアイ島は、地球の始まりはこんな感じだったんじゃないかと思わせるような原始的なイメージの島でした。植物や微生物、動物が生まれ、そのずっと後で僕たち人類が誕生したのだということを改めて思い知らされたような気がします。ただ、僕たちも生きていかなくちゃならないし、生きていくためには発展もしていかないと。ありのままの自然とうまく溶け込んで人々が生活している現在のカウアイ島のように、自然と上手に共存していけば、僕たちにも未来があるのではないでしょうか。その共存の仕方を、僕たちはこれからもっと学んでいかなければならないのだと思います。

原田 タダシ 氏
Tadashi Harada

日本美容専門学校卒業後、SHIMA入社。店長、ブロック長を経て1996年東京都内に『ROSSO』をオープン。00年原宿に『ROSSO salone』、06年に1店舗目の向かいに別ブランド『Living』をオープン。09年には原宿店を下北沢に移転し、『ROSSO shimokitazawa』をリニューアルオープン。サロンワークを中心に撮影やセミナー、ヘアショーなど海外での活動に尽力し、毎年オリジナルのフォトブックを制作している。

http://www.rosso-hair.com/

教えてください

原田さんが日常の中でグリーンを感じる瞬間

ここ下北沢店でたくさんの植物に囲まれて仕事をしているときです。京都の東福寺や苔寺も好きですね。僕は昔から、神社のお祭りで展示されている盆栽を見るのが好きなような子どもでしたから、小さな鉢や庭の中に世界観が表現されている“和”のグリーンに、特に心魅かれます。

rossoROSSO 下北沢店

原田氏が自ら市場でセレクトした100鉢もの植物で作られた「みどりの壁」が店先を飾り、店内でも至るところに置かれた植物が生き生きと育っている。これらはすべてスタッフ全員で丹精込めて手入れをしているそう。
Tel. 03・3481・0534
(グラスルーツ 編集部)

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