私たちができるコトって何だろう?

スローながらも少しずつ進んでいる美容室のグリーン化。取り組み方がわからない…そんなあなたには、まずは「マネる」ことからすすめてみたい。
第1回目のインタビューは、常に一歩先を行くサロン「kakimoto arms」代表の柿本榮三氏。
彼のグリーンへの考え方とは? サロンの取り組みと今後の方向性を尋ねてみた。

お客様にもサロンにもプラスになる
グリーン・アクション

——美容師の方やサロン、そして広くは美容業界全体のグリーンに対する意識を高めるお手伝いをしたい…、grass roots 創刊にはそんな願いが込められていますが、カキモトアームズでは、スタッフの方に意識付けとなるような教育を何かされていますか?

教育というほどのものではありませんが、スタッフは言葉ひとつとっても知らないことが多いようなので、先日もみんなを集めて3R(Reduce・ Reuse・Recycle)の話をしたところです。ただ、今はまだ知らない・関心を持っていないから行動に表れていないだけで、一人ひとりはさまざまな社会問題に対して高い意識を持っています。ブラジルのストリートチルドレンに美容技術を教えるための基金を集めるチャリティー・プロジェクトを行ったときも、スタッフからたくさんの寄付金が集まりました。きちんと取り組めば彼らは応えてくれる、そう思います。
カラー剤も、出しすぎてしまって捨てざるを得ないことがよくあると思いますが、各店に1人担当者を指名して、1カ月に捨てたカラー剤の量を毎月報告してもらうようにしたら、その量は激減しました。ペナルティを付けたわけではありませんが、捨てた分量が一目瞭然になったことと、お金に換算してみたことで、コスト意識が高まったのでしょう。ちょっとした工夫や意識を高めるだけで改善されることって多いですよね。

——それぞれの店舗では、カラー剤の棚をお客様から見えるようオープンにして、ディスプレイのようにしていますが、それも何か意味があるのですか?

ちょうど10年前、青山店オープンと同時にカラー剤の棚を前面に出してみたんです。それ以前は他のサロンと同様、カラー剤は汚れるものだからと裏で調合したり、使いかけのものも見えないよう引き出しにしまっていました。けれど、どの色番がどこにあるのかわからなくなったり、お客様から見えない分、使い方が雑になっていたように思います。そこで、あえてお客様に見せてしまおうと考えたわけです。いわば逆転の発想ですね。しかも、カラー剤を何とか最後まで使い切ることはできないかと思い、使いかけのチューブをつるして最後まで使うことにしました。その結果、ひとめで色番がわかり、使いかけのものがあるかどうかがわかる。きれいに絞ってなくなれば新しいものを出す。お客様も見ていますから、作業も自然とていねいになりました。
このカラー剤の棚は、お客様にとってもデザイン性があって新しい。サロンにとっても使いやすくてコスト削減になる。ムダなく使うことで環境にもやさしい…。こんなふうに三者にとってプラスであることが、グリーン化を持続していくための条件だと思います。ドライヤーを短時間で終わらせることも、電力の消費量だけの問題ではなく、お客様にとっても時間の負担がかからず、サロンにとっても効率がいい。シャンプーもワンプッシュで済むのなら、もうワンプッシュ出す必要はない。そのことがお客様の髪に良いのならともかく、コストもかかるし環境にも良くないのだから。「環境に悪いから××しちゃいけない」という発想ではなく、「××したら、お客様やサロンにとってプラスになるし、環境にもいいよね」というアクションや仕組みをつくっていくことが大切だと思います。

——確かに、環境にいいからといって初期の設備投資が高すぎたり、お客様やスタッフに負荷がかかるのであれば、持続することはできませんよね。他には具体的に取り組んでいることはありますか?

各店舗で気泡のシャワーヘッド(welonda)を使っています。小さな気泡を含んだお湯が出るので、肌当たりがやさしくてやわらかく、通常のシャワーに比べて洗浄力にすぐれているため、かなりの節水になります。以前使用していたのは水圧の強いシャワーで、1人のお客様にバケツ6〜7杯分と、とんでもない量を使っていました。水道料金を見て、これはマズいと思いましたね。くわしく調べてはいませんが、水の使用量はおそらく相当違うと思いますよ。
次に取り組むとしたら照明ですね。サロンは明るくなければならない。しかしながらコストの問題もあって、ムダな電気は使わないという意識はずいぶん高まりました。今後は白熱電球を電球型蛍光ランプに変えていくなど、少しずつ取り組んでいきたいです。
今、僕たちができるコト。カラー剤を余分に出さない、節水に努めるなど、とにかくまずはムダをなくすことから、一歩一歩始めるべきだと思います。

グリーン志向の女性たちに
サロンから発信!

——2007年にオープンした銀座2丁目店ではオーガニックのヘアケア商品も置いているそうですが、今後もグリーンの商品を導入されていく予定はありますか?

銀座2丁目店でプロダクトのコーナーを充実させたいと思ったのは、自宅でのヘアケアをもっと一緒に考えていきたいという発想から。通常のサロンでは店販商品の種類がそう多くはありませんが、お客様にはできればたくさんの種類の中から自分に合ったヘアケア商品を選んでほしいと思ったからです。そしてどのような商品を扱うかを考えたとき、今の時代、ナチュラル系は外せないと思い、オーガニックブランドを選びました。信頼のおけるナチュラル系のメーカー、そしてケミカルの最先端のメーカー、これらの中からお客様は自由に選ぶことができるというわけです。
現在、オーガニックなどグリーンなモノやコトに関心の高い女性が増えています。いろいろなことに好奇心旺盛で、外見だけではなく内面からキレイになりたいという高い美意識を持ち、本物を見極める目と選ぶ意志を持った元気な女性たち。これからのサロンはそんな彼女たちより一歩リードする形で、彼女たちが求めていることを提案していかなければなりません。時代に取り残されないよう、美容業界もグリーンにフォーカスした活動が求められているのではないでしょうか。

柿本 榮三 氏
Eizo Kakimoto
岐阜県出身。カキモトアームズ/柿本榮三美容室社長。インターコワフュール世界副会長、アジア会長。1976年、自由が丘に第1号店をオープン後、青山、銀座、六本木、田園調布、川崎に現在直営9店舗を運営。1994年に日本で初めてヘアカラー専門のヘアカラーリストを立ち上げ、ヘアカラー専門サロンをオープン。1996年、仲間と共に日本ヘアカラー協会を立ち上げる。徹底した「上質化路線」を打ち出して、社会性を持った大人としての美容師と各分野のスペシャリストを育成し、従来の美容を超える進化したトータルビューティーサロンを展開。

チャリティー・プロジェクトを支援しています。EDUCATION FOR LIFE

ブラジルのリオデジャネイロにあるファヴェーラと呼ばれるスラム街。そこで生まれた子供たちは売春、麻薬、犯罪の中で育ち、生きていくために自らの手を犯罪に染める子供たちも大勢います。カキモトアームズは、そのファヴェーラにあるストリートチルドレンのための更正施設で、子供たちに美容の技術を教えるための基金を集めています。それらは講師の費用、はさみなどの道具を購入する費用に使われています。また、はさみ、ブラシ、コームなどサロンで不用になった使用済み美容グッズも定期的にブラジルに寄付をして、学校の授業で役立ててもらっています。

教えてください

○気持ちのいい場所
緑に囲まれてプレイするゴルフはやっぱりいいですね。田舎に行けば行くほど空気もキレイだし、四季折々の変化を楽しんでいます。都心では、緑が豊かで光と風が感じられる田園調布の街が大好きです。

○気持ちのいい時間
桜並木のある自由が丘店を訪れたとき、行きつけのカフェのテラスでお茶を飲むひととき。

○最近気になっているエコアイテム
アイテムではありませんが、5年前に建てた自宅が、木と珪藻土という壁材でできているエコハウスなので、家の中の空気がクリーンです。
(グラスルーツ 編集部)

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