「小さいけれど手入れの行き届いた家で快適に暮らす。庭やバルコニーで野菜を育てる。 仕事場には自転車で通う。 ガスステーションでオリーブオイルの燃料を買う。 こんな創造的な暮らしなら、たとえ都会でも持続可能な世界を築けるはず」 by Cecilia

“アーバン・パーマカルチャー”から学ぶライフスタイル

pic_05_greenInt-02セシリア・マッコーリー
Cecilia Macaulay

アーバン・パーマカルチャー・デザイナー、エコ・イラストレーター。
オーストラリア在住。室内装飾を学んだ後、世界各地のエコ・ビレッジを訪問して歩く。英語教師として日本に6年間滞在。現在オーストラリアと日本でパーマカルチャー講座やワークショップを開催。パーマカルチャーの考え方を活かし、クリエイティブで効率的な庭のデザインやライフコンサルティング、心地よい生活のアドバイザーもしている。愛らしいイラストの才能でも活躍。

http://www.ceciliamacaulay.com.au/ceciliamacaulay/Home.html

セシリアさんが教えてくれた、暮らしをより良くするためのヒント、
都市生活の中で実践できるパーマカルチャーとは?

都市の問題をデザインの力で解決する
セシリアさんのご自宅。庭先にも花が咲き乱れている

セシリアさんのご自宅。庭先にも花が咲き乱れている

——アーバン(都市型)・パーマカルチャーは普通のパーマカルチャーとどう違うのですか?
基本的な考え方はまったく同じです。豊かな自然の中で自給自足をしないとパーマカルチャーを実践できないわけではありません。都会に住んでいてもできることはあります。むしろ地球にも自分にも負荷をかけて生活している私たち都会の人ほど、自然に寄り添うべきだと思います。
私たちが抱える問題は農業のことだけじゃない。他者とのコミュニケーションがうまくいかなかったり、家の中が片付かず窮屈な思いをしていたり、毎日の生活に魅力がないと感じていたり…。そんな都市の問題を、パーマカルチャーというデザインの力で解決しようという取り組みでもあります。例えば、パーマカルチャーでは「よく観察すること」を説いていますが、野菜や畑を観察するのと同じように、相手のことをよく観察して理解することで、他人と上手にコミュニケーションがとれることもあるはずです。

「シェア」から生まれる大きな恵み
現在シドニーで新しいシェアハウスをつくろうと準備中。シェアハウスは一人暮らしに比べ、コストもエネルギー消費もずっと経済的

現在シドニーで新しいシェアハウスをつくろうと準備中。シェアハウスは一人暮らしに比べ、コストもエネルギー消費もずっと経済的

——パーマカルチャーの創始者、ビル・モリソン氏は、タスマニアの森での暮らしの中から、森が美しい理由とその美しさを持続するための秘訣を学んだそうですね。
森にはゴミが一つも落ちていません。動物たちの排泄物は土の肥やしとなり、草花や樹木が育つための糧となる。動物は自分がやりたいことをすればいい。穴を掘りたければ掘ればいい。不要なモノやコトは、森には何ひとつない。人間も森の秘訣を学んだら、もっと暮らしやすい街ができるのに。みんなが自分の才能に合ったことを一生懸命やれば、そしてそれを上手く活用して、みんなで分け合えば、もっと幸せな暮らしができるはず。つまり「シェアする」こと。これはアーバン・パーマカルチャーにおける基本のひとつです。
例えば、みんなで一緒に料理を作る。みんなで買えば、値段の高い有機野菜も割安になる。一人で何品も作らなくてもたくさんの種類が食べられる。みんなで片付ければストレスも少なくなる。そして何より楽しい!例えば、あなたの家にはベッドとソファがある。あなたが夜ベッドで寝るとき、空いているソファを海外から訪れた旅人に貸してあげる。彼は泊めてくれたお礼に彼の国の言葉と文化を教えてくれる。あなたは日本の言葉と文化を彼に教えてあげる。シェアすることによって、お互いにたくさんの恵みを得ることができるのです。

バルコニーでできる小さなエコライフ
居心地の良いバルコニーで、野菜の成長を眺めながらランチを食べたり勉強したり

居心地の良いバルコニーで、野菜の成長を眺めながらランチを食べたり勉強したり

——セシリアさんはご自宅のバルコニーでパーマカルチャーの概念を実践されていますよね。
バルコニーではアスパラ、グリーンピース、ライム、コリアンダーなど、食べられるものをいろいろ育てています。屋根で集めた雨水をタンクに貯めて、土が乾くと水が自動的に出る素焼きのポットシステムを作ったり、土に必要なカルシウムを与えるためにミミズのコンポストも利用しています。コンポストは臭いもないし小さなバルコニーでもできるのでおすすめ。小さなエコシステムがバルコニーで成り立っています。
日本でワークショップを開いたときは、ある参加者の自宅に行き、雨水がうまく流れるよう庭に池を作ったり、虫が寄ってこないような植物を植えて、庭自体が自分でサイクルできるような空間を一緒に作りました。人間があまり手をかけなくてもうまく機能するように、自然が自立できるように工夫するのがパーマカルチャーの基本ですから。また、家の中も断捨離して、居心地の良い空間に変えました。住んでいる人から時間やエネルギーを奪っていた乱雑な家を、エネルギーや心のゆとりを与えてくれる快適な家に変えたのです。こうした空間デザインもパーマカルチャーのデザインの一つですね。

昔からの知恵でクリエイティブな未来へ
セシリアさんのパーマカルチャーの特長は「美しい」こと。ゴミ箱にもネコのイラストが描かれている

セシリアさんのパーマカルチャーの特長は「美しい」こと。ゴミ箱にもネコのイラストが描かれている

——とても流暢に日本語を話されますが、毎年のように日本でワークショップを開いたりイベントに参加されているとか。
21年前に日本を訪れて以来、日本が大好きです。日本人の知識や文化は素晴らしいです。江戸時代の頃から四季折々の工夫やアイデアで、暮らしの中にたくさんの賢いデザインを取り入れてきました。茶道にも快適に生きるためのコツやヒントがたくさん詰まっています。でも、そんな素晴らしさを今の日本人は忘れてしまっている。どうか思い出して。昔からの知恵を見直して実践すれば、日本人は世界がビックリするほど素敵な暮らしができるはず。
そして、日本のお父さんとお母さんは子どもたちと一緒に居心地の良い家や庭をつくったり、料理やものをつくったり、自然と寄り添いながら、快適な暮らしをデザインしていく楽しさを子どもに教えてあげてほしい。まずは大人がそれを楽しんで、自分の人生を楽しんで、その姿を見せてあげて。そうすれば、子どもたちは小さな資源でできるクリエイティブな未来を、自分の力で切り拓いていくことができるでしょう。
(グラスルーツ 編集部)

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