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世界で最も多く生息する野生のオオカミが凛々しく雄叫びをあげる岬。

山の雄大さを実感しながら走る道。15メートルにも及ぶ干満差を見せる湾。

そのすべてがダイナミック。地球のスケールの大きさを肌で体感できる国・カナダへ。

極寒の中、まるでこの世のすべてを包み込むような、オーロラという名の神秘的なカーテンが現れる。太陽の出ている間は、湖に張ったぶ厚い氷の下で泳ぐ魚を探すアイスフィッシングを、雄大な自然を背景に楽しむ。さらに、四季折々の目を見張るほどの食材は、新鮮なうちに調理されテーブルの主役となる。それらは、ダイナミックな大自然を有するカナダだからできること。

「地産地消」「スローフード」。近年の日本でも一般化したこの言葉は、カナダではあたり前のように実現されている。有名レストランとして名を馳せるシェフ自ら、その地域の農場や畑、海辺、市場へ出向き食材を目で確かめる。人間の欲求に従うまま食材を人工的に成長させることなく、自然の摂理に沿い、その時期その地域で無理なく採れるものを必要な分だけ採取する。たとえ来シーズンまで待ったとしても、自然に倣う。それが、真のスローフード。

北極点までのびる広大な土地があり、冬は雪に覆われ気温も氷点下となるカナダでは、この時期「アイスワイン」を堪能できる。マイナス8℃まで下がった頃に収穫される凍ったブドウで作られるアイスワインは、とろりと甘く、香り豊か。1杯のアイスワインに、テーブルワイン10杯分のブドウが必要なほど、希少なワイン。まさに、身も凍るほど寒い自然から、カナダの人々が得た産物。

さらに、現代になってもなお、グリズリーベアやベルーガ(シロイルカ)、ジャコウウシやカリブーなどの野生動物が、カナダでは悠々と凛々しい姿で生存する。それが可能なのは、「ファーストネーションズ」と呼ばれる先住民がこの大地へ貢献したことの一つだろう。その昔、大地殻変動があり、人々は食材を求め移動をし、様々な部族の先住民がその環境に順応した生活を営むようになった。自主独立の民族であったものの、統治され、管理される歴史を経てきたファーストネーションズには、誇り高き自らの文化と信仰がある。中でも豊富な資源がある環境に身を置いた先住民は、定住生活を営み、文化や芸術を築いてきた。たとえば、北西沿岸部に定住した民族による、巨木を使い彫刻を施した「トーテムポール」。神話に登場する人物や動物が刻まれたその柱は、カラフルで異次元な世界へと誘う。深くは、過去・現在・未来が刻まれたものまであるという。また、「カービングマスク」を被り踊るときには、動物になりきって演舞する。それは、ファーストネーションズの、土地や動物との深い霊的関係に由来する。彼らの霊的信仰は、人間と動物界は密接であるというもの。同時に動物は守り神であり、その信仰心は今もなお、儀式や口伝で代々伝えられている。

カナダ・インディアンとして登録されているファーストネーションズは、約54万人、カナダ人口の1.8%(2010年時点)。ダイナミックな大自然と共に生き、そこで生き抜く智恵を得てきた人々の叡智は、埋もれることなく強く深く流れている。

文:沢田 美希(ASOBOT)
(グラスルーツ 編集部)

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