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歴史の息づく都市イスタンブール。まさに神業の領域であるカッパドキア。

棚田が広がるように純白の石灰棚が続くパムッカレ。

そして、黒海、マルマラ海、エーゲ海、地中海に面し、碧に囲まれた国。

この街すべてが世界遺産のよう。トルコの都市イスタンブールには、国民の99%が信仰するイスラム文化だけでなく、キリスト教の軌跡もある。気の遠くなるような歴史を感じていると、優雅に羽ばたく白いカモメが、近くの海の存在を知らせる。街を隔てるように流れる青く穏やかなボスボラス海峡は、地元の人々の営みを見守り、観光で訪れた客人を温かく受け入れてくれる。ヨーロッパ側とアジア側にまたがる大きな街イスタンブールが象徴しているように、ここは東西の魅力が出逢う場所。

7世紀よりこの地で1000年間、多民族国家として発展したビザンチン帝国。そして、1299年に建国したオスマン帝国は、建築や文学、美術などの分野においても強い影響を後世に遺している。このふたつの大帝国の首都として繁栄したのが、イスタンブール。街が背負う歴史的背景は、今なお色褪せない。その象徴といえるのが、ビザンチン帝国時代の最高傑作の建築と称される「アヤソフィア」だ。頭上には聖母像とイスラム教のシンボルが描かれ、ふたつの宗教が同じ空間に在る。そのアヤソフィアと向かい合うように聳えるのが「ブルーモスク」。約2万枚に及ぶブルーのイズニック・タイルや、ステンドグラスから差し込むやさしい光に包まれてみる。多民族が行き交い、個性を活かすように発展し、いつの時代も美意識と共に人々が根づいてきた街。近代化が進むとはいえ、新旧の良さを認め合い同居する道を選んだ街特有の、懐の深さがここにはある。

イスラム教とはいえ、トルコは政教分離の国。よって、ワインや「ラク」という自国のアルコールを、至る所で堪能できる。また、世界三大料理のひとつに数えられるトルコ料理は、地産の新鮮な魚介類や、自給率100%という農業大国ならではのみずみずしい野菜を豊富に取り入れ、遊牧民の伝統料理に地中海やバルカン半島のエッセンスが加わっている。宮廷料理もいいが、公園や海辺で気軽に食べる屋台料理は、景色もあいまって忘れられない味になるだろう。

トルコの人々にとって大きな年間行事が、「シュケルバイラム(砂糖祭)」と「クルバンバイラム(犠牲祭)」だ。その前後に1週間ほど休暇をとり、家族や親戚のもとへと帰郷する。シュケルバイラムは、断食の終わりを家族で祝う3日間のお祭り。子どもたちは家々を訪ねチョコレートなどの甘いお菓子をねだり、家族みんなで断食明けの昼食を食する。その70日後のクルバンバイラムは、神への感謝の表れとして生け贄を捧げるための4日間のお祭りで、今なお田舎町では、道端や軒先で、家の男性陣が羊(クルバン)や牛などの動物をその場でさばく。女性や子どもたちはそれを見守り、その後はみんなで食べたり周囲の人に配るという。その光景を目にすることで、食への感謝を心に刻むことができる。トルコの親たちは、そうして子どもたちに大切な心を教えているのかもしれない。

太陰暦に従うシュケルバイラムとクルバンバイラム。今年のクルバンバイラムは、11月6日からの4日間。きっと多くの家族が、ひとつの食卓を囲むことへの感謝を深め、わかちあっていることだろう。

文:沢田 美希(ASOBOT)
(グラスルーツ 編集部)

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