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首都マドリード、第2の都市バルセロナ、次ぐバレンシアと、色濃い都会。

さらに17の自治州と2つの自治都市を有するスペイン。

どれもが独自の特徴をもち、文化が根づく国。感性を刺激する、多くのエッセンスが漂っている。

この大地が芸術の霊感の源であった―。

カタルーニャ地方に生まれ時を過ごした、画家ジョアン・ミロ(1893-1983)は、自分の愛する土地を、こう表現した。目の醒める原色使い、既成にこだわらないモチーフ。自由な表現で数多くの作品を世に送り出したアーティストは、生まれ育った大地からどんなインスピレーションを受けたのだろう。躍動感溢れる絵画は、眩い太陽の出現に伴う激しいコントラストを象徴しているかのようだ。

ミロにはじまり、パブロ・ピカソ(1881-1973)、サルバドール・ダリ(1904-1989)、アントニ・ガウディ(1852-1926)といった、名立たる芸術家・建築家に共通することは、彼ら全員がスペイン・カタルーニャ地方に縁があるということだ。ピカソ以外の3人はカタルーニャに生まれ、ピカソも感受性の強い10代をこの地で過ごした。スペイン北東部に位置するこの地域は、ピレネー山脈の南、地中海に面している。バルセロナに自治州政府を置いており、「スペイン人である前にカタルーニャ人である」と自負するほど、地元の人々は独自の文化や歴史、言語を大切に思う。ゴシック建築が保存された旧市街と、都市計画が進み区画された新市街。そして、街角で街と人々の行方を見守るアーティスト作品。都市として進化しながらも、芸術家の魂が彷徨い続ける土地でもある。

芸術だけでなく、スペインの色濃い文化は様々ある。それは、各地の祭りや郷土料理からもうかがえる。中でも、食文化は大きく発展してきた。スペイン料理は海をまたぎ、ここ日本でも大人気だ。

イベリア半島に位置するため、多くが海に面しているスペイン。豊富な海の幸を柱に、農地、牧草地、山脈などの環境の賜物が新鮮な食材として、スペイン料理の大きな役割を担っている。別の要因は、スペインの歴史が鍵。様々な文化の通り道であったスペインは、多くの民族の影響を受けてきた。たとえば、フェニキア人による「ソース」、ギリシャ人が伝えた「オリーブオイル」、ローマ人、カルタゴ人、ユダヤ人の調理技術。特に、何世紀もスペインを統治していたムーア人は、肉や魚にフルーツやナッツを組み合わせる方法、そしていまやスペイン料理の要であるお米と、サフラン、シナモン、ナツメグといったハーブ類を用いる料理を伝承した。さらに、現代でも人々が暑さを乗り切るために食する「ガスパチョ」も、ムーア人からの影響によるもの。私たちの五感と胃袋を刺激するスペイン料理は、たくさんの文化を自分たちのものとしてきた結晶ともいえるだろう。

食文化にはじまり、アートや建築など、多くの文化を生み出し育んでいるスペイン。パワフルな太陽に照らされ、海から吹いてくる風が身体を包み込む。強い生命力が宿った大地に立つと、五感にプラスして自らが秘めている感性が研ぎ澄まされるかのようだ。かつてダリが語った、ある言葉を思い出す。

芸術家には、そこでしか生きられない場所というものがある。別の場所では創造できないのだ。

文:沢田 美希(ASOBOT)

ガウディ建築物「カサ・ミラ」

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ダンスミュージックの聖地イビサ島

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(グラスルーツ 編集部)

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