冬のモスクワは白銀の世界

この季節になると、最高気温でも毎日マイナスになるロシアの首都・モスクワ。
国内には、日常的に気温マイナス30℃、積雪8mを記録する地域もある。
この国の人々は、冬のひとときをどのように過ごしているのだろう。

9月末。ロシア・モスクワから、5分程の短時間ではあるものの初雪が舞ったというニュースが届いた。まだまだ残暑厳しく、汗をかいていた日本からすると信じられない話だったが、そう、世界は広いのだ。
ロシアへ渡航するためには、ビザを取らなければならない。それゆえ、“遠い”と感じる人も多いだろう。遠い国ロシアと聞いて、なにをイメージするだろうか。戦争を直接知っている世代と、インターネットで世界と繋がっている世代では、きっと答えは違うはず。とはいえ、日本人からすると「寒い」という答えはどの世代にも共通するかもしれない。
日本の45倍も国土面積があるロシア。土地により気温の差や体感温度は変わってくるものの、首都モスクワの1月の平均気温はマイナス7.5度。やはり、寒い。ただ、日本在住のロシア人を含む欧米人からは、日本の方が寒いという話を聞くことが度々ある。それは、日本の住宅構造が原因だ。ロシアはもちろん、カナダや北欧など冷え込む地域の住宅は、冬に備えた建築構造が基本だ。断熱材やセントラル・ヒーティングはあたり前。この設備のおかげで、真冬でも室内は半袖や薄手の服で事足りる。温もりに包まれる冬のひとときに、このような住宅環境は欠かせない。
室内が暖かいからといって、ロシアの人々が閉じこもってばかりかというと、そんなことはない。子どもたちは雪だるまを作ったり、ソリで滑ったりと冬でも外で遊び、大人も散歩を日課にして、池の氷に穴を開けて釣りを楽しんだりする。この国の人々は、それぞれ、冬との付き合い方を心得ている。

幻想的なロシア正教会

幻想的なロシア正教会

特に冬は、ロシアの人々の愛する季節でもある。ロシア正教に習い、1月7日がロシアのクリスマス。12月末から約2週間、連休へと突入する。
新年とクリスマスをとても大切にするロシアの人々。スキーの保養地や海沿いのリゾート地で過ごす人も多いが、大半は温もりの象徴でもある美しく飾られた大きなクリスマスツリーのある自宅で過ごす。家族が勢揃いして、食卓を囲む年越しの夜。サラダ、ピクルス、チキン料理などが豪勢にテーブルを彩る。もちろん、お酒も常連だ。窓の外には、白い雪。そのときには、『運命の皮肉』という70年代の恋愛コメディ映画がTVから流れている。ロシアで育った人なら、セリフが覚えられるほど馴染みのある映画。なぜなら、毎年必ず大晦日に放映されるからだ。定番映画が終わり、子どもたちがプレゼントに期待で胸を膨らませていると、聴こえてくる12の鐘の音。シャンパンで全員が乾杯すると、とうとうプレゼント交換の時間となる。まるでクリスマスのような過ごし方が、ロシアでのお正月。夜中になると若者はパーティーへ。友達の家を訪ねてプレゼント交換したり、お酒を楽しんだりと、冬の寒さを忘れて新年を祝うという。それは、家族と幸せをシェアする時間でもあり、友人たちと笑顔を交わす時でもある。雪がきらめく景色の中、愛する人たちと今年も新しい年を迎える。何気ないこと。でも、それを大切にしていけることが、豊かな暮らしなのだと思う。

ライトアップされた百貨店

ライトアップされた百貨店

モスクワは、これから先のさらなるメガポリス化に備えて、2014年には地下鉄を9駅開設予定など、進化している。そして、市内だけでも1年で50もの公園を増設したり、30kmの歩行者天国を備えたりと、単なる大都会開発ではない。今も将来も、人々が過ごしやすい街へ。そんな展望が、カタチになりつつある。
2014年2月、ロシアで初の冬季オリンピックが開催される。開催地は、黒海に面したリゾート地・ソチ。オリンピックが近づけば、きっとロシアをもっと身近に感じられるはずだ。“近いけれど遠い国”から、“遠いけれど近い国”ロシアへ。

文:沢田 美希(ASOBOT)
(グラスルーツ 編集部)

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