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イエス・キリスト生誕の地。紛争の続く地。遠い異国の地…。

イスラエルとは、どんな場所なのだろう。

気軽に訪れる機会がなかなかない国だからこそ、その神秘性に期待高まる。

未知なる地へ、冬の澄んだ星に導かれて。

「血も涙も充分に流した。もう充分です。新しい章を、一緒に開こうではありませんか」

イスラエルのイツハク・ラビン首相(当時)は、長く血塗られたこの地の和平を願い、パレスチナのアラファト議長にこう語った。アラファト議長もそれに握手で応え、『オスロ合意』を結んだのは1993年のこと。それから、20年。中東和平は、いまだ現実となっていない。

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イスラエル建国は、1948年。エジプト、シリア、レバノン、ヨルダンと国境を接する、中東の国。地中海、紅海に面し、ヨルダンとの国境沿いには、有名な「死海」がある。死海とは、海抜マイナス400mという地上で最も低いところにある湖。塩分濃度が海水の約10倍と高いため、生物がほとんど生息できないが、誰もが浮遊でき、リラックスを求め世界中から多くの人が訪れる。また、死海の塩水に含まれる天然ミネラルが海水より30倍もあることや、計64種のミネラルにより、美肌効果や精神安定作用があるとして知られている。さらに、厚い大気層が生じるため、有害な紫外線がカットされた日差しを浴びることができるという。地球がもたらした奇跡のような死海の魅力に、クレオパトラやシバの女王、アリストテレスなどが気づき、古代より医療や美容の力となってきた。

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イスラエルの人々が首都と主張するエルサレム(国際的には未承認)の金曜日。白とベージュが基調の洗練されたアンティーク調の新市街を通り抜け、世界遺産である旧市街へ。ユダヤ・イスラム・キリスト教の聖地である旧市街は、多くの人で溢れかえる。

午前、イスラム教の礼拝の時間。メッカ、メディナに次ぐ憧れの巡礼地とされる『岩のドーム』は、預言者ムハンマドが天使と共に昇天した聖地があるモスクだ。午後になると、イエスが十字架を背負って歩いた『ヴィア・ドロローサ』での行進が始まる。杭に打たれたゴルゴダの丘に建つ『聖墳墓教会』の内部には、各宗派の聖堂がある。ここはイエスが肉体としての命を落とし、葬られ、復活した地。息を引き取り、香油が注がれた場所では、人々が敬意を込めてひざまずき口づけをする。

かつてローマ帝国に侵略されてからイスラエル建国までの約2000年間、自国を持てず流浪の民であったユダヤ人にとって最も重要な地が、『嘆きの壁』と『マサダの砦』だ。ローマ軍に追いつめられ最後に立てこもったマサダの砦からは、死海と砂漠地帯が一望できる。ユダヤ人はこの景色を焼きつけながら散り散りになり、自分たちの地と血を絶やさぬよう、そのDNAを色濃く刻んできた。夕方、ユダヤ教の礼拝。黒づくめの正教派の人々が、『嘆きの壁』前でうごめいている。聖書を朗読し、歌い、祈る人々。イスラエルという国の歴史を思うとき、この光景の意味を少し理解できるような気がする。

三つの宗教が「共存」する地。とはいえ「交流」はない。自爆テロや報復攻撃が行き交うイスラエルで、再び和平の灯火が宿った瞬間があった。2002年、パレスチナが自爆攻撃を中止する停戦宣言を完成させたのだ。しかし、発表直前のイスラエル軍の攻撃により、宣言は幻となってしまった。この宣言が現実となるよう、そして地球で起きている嘆きが愛溢れる歓喜へと変わる日を、思い描き祈ろう。

「子どもたちから憎悪を消し去り、未来が確かに存在することを教えるには、ひと世代が必要だろう。しかし、我々は始めなければならない」  「人々を苦しめてきた川のような血は止まる。今、我々によって」

引用文献 : 『そうだったのか!現代史パート2』池上彰/集英社

文:沢田 美希(ASOBOT)

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MUSIC

Guy Gerber「fabric 64」(輸入盤/1,600円)

Guy Gerber「fabric 64」
(輸入盤/1,600円)

イスラエル人No.1 DJ、プロデューサーで、世界中のフロアを熱狂させるガイ・ガーバーによる、ミックスCD。ロンドンの老舗クラブFabricによるミックス・シリーズだ。未発表音源と新曲で構成された今作は、友人とのコラボ曲も含め2ヶ月で完成させたという。柔らかく上品でディープなハウスをベースに、影も感じさせる、ガーバー独特の世界観が繰り広げられる。フロア仕様でもあるが、夜に部屋で聴くと、幻想へといざなわれる。

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MUSICAL

『100万回生きたねこ』(2013年1月8日〜27日/東京芸術劇場プレイハウスにて上演、地方公演あり)

『100万回生きたねこ』
(2013年1月8日〜27日/東京芸術劇場
プレイハウスにて上演、地方公演あり)

絵本『100万回生きたねこ』がついにミュージカル化。主演は、森山未來と満島ひかり。この舞台の演出・振付・舞台美術・衣装を手掛けるのが、イスラエル人であり世界を魅了する奇才インバル・ピント&アブシャロム・ポラック。演出家、そしてダンサー・振付家として絶賛を浴びる二人が、どう魅せるのか。異国情緒たっぷりな大人のファンタジーに浸りたい。
http://hpot.jp/100man_cat/

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DVD

『いのちの子ども』(発売元:ミッドシップ、販売元:紀伊國屋書店/5,040円)

『いのちの子ども』
(発売元:ミッドシップ、販売元:紀伊國屋書店/5,040円)

余命わずかと診断されたパレスチナ人の赤ちゃんの命を救うために、イスラエル人医師とジャーナリストが立ち上がった。手術に必要な金額を集め、ドナーを見つけ、骨髄移植を行い、生きる望みを託す。そこには、民族や宗教の壁、リアルな紛争、アラブ人(パレスチナ人)であるアイデンティティと母親としての想いなどが絡み合う。小さな子どもが教えてくれる、本当に大切なこととは? 心に刺さるドキュメンタリー映画。

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BOOK

『死を生きながら イスラエル1993-2003』デイヴィッド・グロスマン 著、二木麻里 訳(みすず書房/2,940円)

『死を生きながら イスラエル1993-2003』
デイヴィッド・グロスマン 著、二木麻里 訳
(みすず書房/2,940円)

イスラエル人エルサレム生まれの作家による、10年にわたる現場からのイスラエル手記。イスラエルのパレスチナへの差別的な政策を批判し、平和のための活動を続けてきたグロスマンが記す“現場からの声”は、とても明瞭でいて臨場感がある。1トピックが短いため理解しやすい一冊。この10年を振り返ると思い浮かぶ言葉は「雑音」だと書く著者の、肉眼と心の目に映るイスラエルとはどんなものなのだろうか。

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ITEM

『ボディスクラブ』全8種の香り(SABON Japan/5,000円)

『ボディスクラブ』全8種の香り
(SABON Japan/5,000円)

死海をはじめとする自然の恵みで作られるイスラエル発コスメブランド「SABON」。ミネラルを豊富に含んだアイテムはもちろん、アンティーク調のラグジュアリーな店内とパッケージデザインで世界中の人々から愛されている。中でもボディスクラブは、死海の塩と天然植物オイルで作られており、香りに包まれながら、驚くほど肌がツルツルに。一度使うと手放せない。
(グラスルーツ 編集部)

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