豊かな個性を育む「杜の都・仙台」。東日本大震災で大きな被害を受けたにもかかわらず、
彼らは皆熱く燃え、個性輝く作品たちはさらなる希望の火を私たちの心に灯してくれる。
ガンバレ東北、ガンバレニッポン!のエールを込めて各界のクリエイターをご紹介。

家具撮影:原淵將嘉(原淵將嘉写真事務所)

 

森と共存したアトリエから生まれる奇想天外な家具
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インテリア・店舗・空間デザイナー|OGATA 尾形欣一さん URL → www.ogata-japan.com
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space 仙台泉ヶ岳。けもの道を車でガタガタと揺られながら森の奥深くに進むと突如現れるOGATAのアトリエ。森(自然)の持つ循環や機能、恵みをさまざまなカタチにするという思いから大自然の中にアトリエを構え、これまで数多くの作品を世に送り出してきた。
尾形さんのデザインにはどれも長い間親しまれる空間づくりと、手作りの温もりや意思を伝えていくというメッセージがある。 

たとえば、2009年のフランスの国際見本市『メゾン・エ・オブジェ』のトレンドにも選ばれたボックススツールは、資源が枯渇し革製の段ボール箱が誕生したら、使い捨てもなくなるだろうというアイロニーなメッセージも含んでいる。誰もが知っている段ボール箱に腰掛ける心地よさからアイデアは生まれたのだそう。

また、代表作の「BEANSCHAIR」はビーンズ=種子をモチーフに成長し続けるプロセスの大切さを込めた作品。物づくりの勢いは日本にとどまらず全世界へ広がっているが、地元・仙台でエキシビジョンを開催するなど、次世代の啓蒙と産業活性にも大きく貢献している。

5月28日にオープンした「杜の市場」 http://www.morinoichiba.com/ の現場にて。

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自然の営みから多くの発想が生まれていく大自然の中のアトリエ。 国内外の店舗デザイン・施工も多く手掛ける。オフィス内外装を手掛けた「SOSU INTERNATIONAL Head Office 」 仙台の自然から恩恵を受けて物づくりが広がっていく。さまざまな困難を乗り越えてこの地を復興させたい。
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多くのメディアでも取り上げられた「BEANS CHAIR」。カタチの可愛さもさることながら座り心地も抜群。 わざとダメージを表現した「ボックススツール」。デザインも多種多様。 木製とは思えないほど、座るとふわっと身体が沈む心地よいソファ。 二分割されスツールにもなる「BUTTON BENCH」

 

 

季節の食材をシンプルに食することの豊かさ
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Ristorante da LUIGIオーナー|廣瀬竜一さん
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space イタリア・フィレンツェで約8年、ハプスブルグ家の子孫が経営するレストランで各界の著名人に腕をふるっていたイタリアンシェフの廣瀬ルイジさん。30代でイタリアに渡り、40歳までには生まれ育った仙台でお店を持ちたいという願いが叶い、昨年の秋に『リストランテダ・ルイジ』をオープンさせた。白を基調とした明るい店内にはブドウの葉をモチーフにした装飾が施され、ナチュラルな中にも独特な遊び心が表現されている。

「本来、フィレンツェの人々は食に対して保守的で、素材を活かした調理法が昔のレシピのまま引き継がれています。一年を通し、その季節の旬な食材を食べていれば健康で豊かな人生が送れるという考え方なのです。ここリストランテダ・ルイジでも天然もの、季節ものにこだわり、良質で身体に良い、安心できる美味しいメニューを提供しています」とルイジさん。震災による風評被害は大きかったけれど、多くの人がこれをきっかけに、食に対する考え方が大きく変わったのはよいことだとか。「安全であることは大切なことだけど、とにかく美味しいことが一番。あまりセンシティブにならずに食べたいものを食べることが幸せなのでは」とも。

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Ristorante da LUIGI
宮城県仙台市青葉区国分町1-8-14 仙台協立第2ビル1F TEL.022-263-7855
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秋田の生ガキ、山形のエビ、宮城のアスパラ、大崎のナス。すべて近郊の食材を調達。リコッタチーズを豆腐にアレンジしたクロスティーノパーパは絶品。
イタリアの太陽と風が感じ取れる美しい装飾。震災ではワインの瓶やグラスなど何一つ破損しなかったとか。 手間を惜しまない愛情いっぱいの手料理が訪れる人を魅了する。予約が取れない店として連日盛況。
仙台は自然の宝庫。風評被害に負けず土地の恵みをテーブルにあげ続けたい。

 

ノーム(大地を司る妖精)が宿る仙台のサンクチュアリ
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Notre Chambre(ノートルシャンブル)オーナー|阿部純子さん
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space 扉を開いて一歩店内へ入ると不思議な感覚に包まれるカフェ、ノートルシャンブル。緑多い閑静な住宅街にひっそりとたたずみながらも圧倒的な存在感を放つその理由は、心がピュアな人にしか姿が見えないという神聖な妖精が宿っているからだとか。

店内は、サロン ド テ(カフェ)と、コテミディ(お茶、インテリア、小物などの販売スペース)で構成されていて、フランスのリヨンに本店を構えるMaison de THE Cha Yuanの日本代理店としてさまざまな種類のお茶の販売もしている。

もともと仙台出身の阿部さんだが、某大手カフェの立ち上げに携わり、東京、神戸、熊本と転々とし、現在自然に囲まれた地元・仙台に戻られたとのこと。

「身体を壊したのをきっかけに食に興味を持ち始め、震災後もずっと今、何を食べたら良いのか、食のことばかりを考えていました。ここのメニューはすべて手作り。最近では長岡式酵素玄米をメニューに追加。こうした身体に良いメニューを今後も沢山提供していきたい」と阿部さん。

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Notre Chambre URL→ http://www.cotemidi.com/
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ガレットやワッフル、クレープなど、紅茶に合う美味しいスイーツに惹かれてやってくるお客さまが後を絶たない。
残留農薬や化学肥料などの安全性も確認して輸入している Maison deTHE Cha Yuanの茶葉。美味しいだけでなく、身体にも安心して愉しめる。 水耕栽培用のハウスはオリジナル。デザインはOGATAさんにお願いしたもの。育ったハーブ類はそのままカフェの食卓へ。
震災後2週間、電気が消えた仙台の夜空にまたたく星は本当に美しく、一生の思い出になりました。

 

壮大なストーリーで繋がって完成する作品群
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立体造形作家|増田周一さん
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space 15年間で総数250作品の連作プロジェクトに挑む増田周一さん。2005年に工房を立ち上げてから今日まで、仕事としてのアクセサリーデザインの合間を見ながら46作品を創作してきた。

店内は、サロン ド テ(カフェ)と、コテミディ(お茶、インテリア、小物などの販売スペース)で構成されていて、フランスのリヨンに本店を構えるMaison de THE Cha Yuanの日本代理店としてさまざまな種類のお茶の販売もしている。

そもそもなぜそんなスケールの大きなテーマに取り組もうと思ったのかを尋ねてみると、「装飾品というのはかれこれ8000年も前から存在し、これまでさまざまなデザインのアクセサリーが作られてきたわけです。時代によってトレンドが生まれ変わっていくだけで、デザインの限界は感じていました。なので、今までなかったものを組み合わせるというアイデアで新境地にチャレンジしてみたかったんです。250作品、すべてのデザインはすでに出来上がっています。あとはカタチにするだけ。また並行して新しいプロジェクトも遂行中」と、とにかくアツい。

「展示するスペースがあれば場所にはこだわらないけれど、人と人のつながりを大切にする仙台は心地いいし、案外マニアックな人が多くて面白いですよ」。

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作品名は『砂の丘列車』。この作品で世界の造形作家300人に選ばれ、翌年2月北米のアートブックに掲載される予定。
space 作品名は『百足列車』。動物を擬人化した キャラクターがなんと1500体も。 space 作品それぞれには扉がつけられている。物語が終わると扉は閉められ、また次の物語の予告を伝える。すべてにこうした空間を持たせることで世界観を表現している。
space 被災地でオリジナルの笛を制作して配ったり、義援金を集め建築資材を購入して仮設住宅を建てました。

 

温故知新が息づく松島の新名所
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松華堂菓子店|千葉伸一さんご夫妻
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space 昨年夏、地元松島でカフェを併設した「松華堂菓子店」をオープンさせた千葉さんご夫妻。もともと父親がやっていた店を代替わりし、同時に店舗も完全リニューアルした。

これまで名物の牛タンや牡蠣を食べさせる食堂だった店を思い切って変えるには理由があったそう。「仙台でカフェを運営していたのですが子供ができたのをきっかけに松島に戻りたくなったんです。

ここは観光地でもありますが、いい意味で田舎なんです。スローライフを楽しみながら松島に新しいカルチャーを作りたかった。これまでの松島は近隣の人にとって、遠足で来るくらいのいわゆる観光地。カフェ文化を定着させるには苦労も多いですが、少しずつ変化が生まれていると思います」と千葉さん。今ではお店でアコースティックライブをやったり、ゆったり本を読みながらお茶を飲みに訪れる地元の人も増えているとか。

そんな矢先に起こった今回の震災。石巻や気仙沼に比べると被害が少なかったとは言え、1階部分は浸水。4月23日にようやく再開した。「こんなことで逆戻りはしたくない。震災前より素敵な店、魅力的な松島にしたい」と千葉さん。

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Shokado
宮城県宮城郡松島町松島字町内109 2F  TEL.022-355-5002
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牡蠣の殻を肥料にして育ったにわとりが産んだ地元の新鮮な卵と盛岡にある藤原養蜂場のはちみつからできたカステラ。松島の新定番にと店内のカステラ釜で焼いています。
space 宮城のシロメダイズを使ったきなこのダッコワーズ。他にも素材を生かした素朴な味わいのお菓子がいっぱい。 space 街道沿いにそびえたつバウハウス風の木造ガラス張りの建物。100年後に味が出てくるような建物にしたかったそう。
space 松島は貝塚や古いお寺がある神々に守られた場所。今年の夏、鎮魂の意味も含め、湾全体のお祭りを企画中。

 

 

農家の姉妹が発信する心温まる雑貨たち
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菜園雑貨|鹿野牧子さん 只野文子さん
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space 結婚して子供を持つひょうたん作家のお姉さんの牧子さん、農家の仕事を手伝いながら手ぬぐいやトートバッグなど布物を得意とする妹の文子さん。姉妹そろって感度の高いセンスを持ち合わせた素敵なお二人は松島町に隣接する美里町の出身。

「父が畑の隅で育てているひょうたんをどうにか有効活用できないかなぁと考えていたところ、絵でも描いて野菜の直売所で売ってみたら?と家族に言われたのがきっかけ。カタチやサイズに合わせてイメージを膨らませ、一点一点丁寧に作っています。いつも新鮮な気持ちで作りたいので出来上がった作品はできるだけ手放すようにしています」と牧子さん。かたや文子さんは刺繍や布を使った雑貨づくりが中心。二人とも農作業をしている最中、咲いている花や植物を見てインスピレーションを膨らませているとか。

「震災で今は休業中のLoin(ロワン)というカフェの青空市に出店させていただいたのがきっかけで、今ではエコマルシェなどにも積極的に参加しています」と文子さん。今後も対話しながら販売していくようなスタイルを大切にしていきたいそう。

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Saien Zakka URL → http://saienzakka.jp
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松島の復興を願って描いた新作。
space 種から葉が育ち、やがて花が咲き、実をつける。そんな植物の成長を描いた愛らしいマトリョーシカ。 space 宮城の自然をモチーフにした手ぬぐいやトートバック。どのアイテムにもストーリーがある。
space 一度は子供のことを考えて疎開も考えましたが結果松島にとどまる決心をしました。この先もずっとこの土地を愛していきたい。

 

 

(グラスルーツ 編集部)

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