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毎年ゴールデンウィークが終盤をむかえる頃になると、庭のバラが次々と咲き始め、夏がめぐって来たことをおしえてくれます。庭では数種類のバラを育てていますが、中でも一番のお気に入りは「オーバーナイトセンセーション」というミニバラです。先が尖った花弁(剣弁)は濃いピンク色。ミニバラにしては大輪で、強い香りを持っているのが特徴です。花に顔を近づけると、バラ独特の濃厚な香りに、全身が甘美な喜びに包まれるほど。この品種、実は宇宙を旅したバラとして有名です。
1998年10月、宇宙飛行士の向井千秋さんが搭乗したスペースシャトル・ディスカバリー号に、オーバーナイトセンセーションが持ち込まれ、NASA(米国航空宇宙局)とIFF(アメリカの香料会社)の共同研究の一環としてある実験が行われました。その内容とは、「香り成分は宇宙でどう変化するか」というもの。そして実験の結果、バラは宇宙において、地球上では放つことのない香りを出すことがわかったのです。宇宙でのバラの香りは、地上のそれよりもソフトで芳しく、宇宙飛行士たちにヒーリング効果をもたらしたとか。植物には、地球上では発揮されていない未知の力が、まだまだたくさん眠っているのかもしれません。
我が家の庭で美しく咲き誇るオーバーナイトセンセーション。このミニバラに内包された秘密の香りを、いつの日か宇宙空間で嗅いでみたいものです。

 

景山 えりか
撮影:秋山まどか

撮影:秋山まどか

文筆家、アストロ・コミュニケーター。ライフスタイル誌を中心に、ナチュラルコスメやハーブなどの取材記事を多数執筆。その一方で、星空の楽しみ方や、月や星の文化をメディアで紹介するなど多方面で活動中。著書に『自然とつながる暮らしかた 空の向こうは 私のうちがわ』(講談社)

http://www.cosmic-life.net

(グラスルーツ 編集部)

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