庭で収穫した梅でシロップを作ったり、夏みかんをジャムにしたり、外のデッキで木漏れ日の中ティータイムを楽しんだり。「いつも季節の恵みを感じられる暮らしでありたい」と稲垣さん

Slow Life is Beautiful.
スローに生きたい。

コンビニエントで情報過多のこの時代に、あえて自分らしくていねいに暮らす。
足早に急ぐのではなく、時には立ち止まって深呼吸してみると、沢山のしあわせがやって来る。

語らうひととき、
ものを愛おしむ気持ち。
“家の時間”を味わうということ

稲垣 早苗さん

季節の息づかい、手仕事の恵み、そしてデンマークの生活文化。
稲垣さんの暮らしにはそれらがいつもそっと寄り添っている。
日常の中のもの、時間、あるいはシーンを丹念に味わうこと。
それが、稲垣さんが考える“ていねいな暮らし”。

手仕事を介して作り手と使い手を結ぶ店「ヒナタノオト」を日本橋で営むかたわら、千葉県市川市で「ギャラリーらふと」を企画。鴨川市内の自宅でも執筆作業などの仕事をしている稲垣さんの毎日はとても忙しい。ただ、そんな慌ただしい日々の中でも穏やかな暮らしを楽しんでいるという稲垣さんは、「ヒュッゲ」というデンマーク語を教えてくれた。

食事や食後の団らんのひとときにはキャンドルを囲んで、こっくりとした時間を味わう

食事や食後の団らんのひとときにはキャンドルを囲んで、こっくりとした時間を味わう

「20年ぐらい前に魅せられて以来、毎年通い続けているデンマークでは、ヒュッゲをとても大切にしています。ヒュッゲは、人と人とのふれあいから生まれる暮らしの中の心地よい空間のこと。家族や友人とお茶やお酒を飲みながら心ゆくまで語り合ったり、くつろいだり。なかでもキャンドルはヒュッゲに欠かせない小道具のひとつ。デンマークの人々は花を活けるように、夜はもちろん昼間でもキャンドルを灯します。すると時間がこっくりと深まり、まろやかに美味しくなるのです。そんな暮らしに触れるたびに、いつしか自分自身もプライベートな時間を上手に切り取ることができるようになったと思います」。
日本人との決定的な違いは“家の時間を楽しむ”ことだと稲垣さんはいう。「デンマークの人々は人生を楽しむための時間の味わい方をよく知っています。そして家にいる時間が長い分、ヒュッゲはもちろん家具や調度品、家そのものを大切にしています。私はデンマークの街の家並みを眺めるのが大好き。代々住み継がれてきた家の窓辺にさまざまなお気に入りのものが飾られている様子は、それぞれの小さな営みが表れているかのようですね」。

愛着のある器や道具を使って暮らしのワンシーンを彩るのもまた楽しい

愛着のある器や道具を使って暮らしのワンシーンを彩るのもまた楽しい

デンマークの人々が古いものを繕いながら大切に使い続けているように、昔からものを長く使い続けることが好きだったという稲垣さん。手仕事でつくられたものは買った時がベストかといえば必ずしもそうではなく、使っているうちに深い味わいが出てくるものもある。そういうものに心惹かれるのだそう。それらはきっと暮らしを彩ってくれるから。
「使い込まれた器にどんな美味しい料理を盛り付けようか考える。お気に入りの花器に、庭に咲いてる季節の花を添える。丹精込めて作られたほうきですっきり掃除をする。そんなふうに楽しみながら行う料理や掃除など日々の家事は、一見地味な作業のようでいて本当はすごくクリエイティブなことだと思うんです。作り手の感性に、私たち使い手がクリエイトする気持ちを響かせる。それだけで家で過ごす時間や暮らしぶりが一層豊かになるはず。そんな“家の時間”をていねいに積み重ねることができたら、それは幸せなことですね」。

親しい人やお世話になった人へはメールや電話だけでなく、季節の便りを万年筆で綴る。時には昔から好きな俳句をしたためて

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ヨーロッパではおなじみの野菜、ルバーブを使ったケーキは自家製。ハーブティーは庭のハーブをちょこっと摘みとって

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プロフィール

稲垣 早苗さん。日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」店主。千葉県市川市の「galleryらふと」及び野外クラフトイベント「工房からの風」の企画運営を務める。著書に『工房からの風』『北欧の和み デンマークの扉をあけて』(共にアノニマスタジオ)。稲垣 早苗さん

日本橋小舟町の工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」店主。千葉県市川市の「galleryらふと」及び野外クラフトイベント「工房からの風」の企画運営を務める。著書に『工房からの風』『北欧の和み デンマークの扉をあけて』(共にアノニマスタジオ)。

 

 

 

 

工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」 http://hinata-note.com/

工芸ギャラリー・ショップ「ヒナタノオト」
http://hinata-note.com/

「gallery らふと」 http://www.kouboukaranokaze.jp/raft

「gallery らふと」
http://www.kouboukaranokaze.jp/raft

 

 
(グラスルーツ 編集部)

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