ゴルフは「金持ちの道楽」とか、「接待の社交場」などと言われ続け、ゴルフ場は森林破壊と農薬による土壌汚染の象徴として長く批判されてきた。“ゴルフは好きだけれど環境に良くないことをしているからなあ”と小さな罪悪感を感じている方に、ぜひおすすめしたい一冊がある。
“私はゴルフをしない、今後もすることはないだろう”と語る森林ジャーナリストの筆者が、昨今のゴルフ場の良好な管理により、静かに蘇りつつある「自然と生態系」の実態に触れ、ゴルフ場というフィルターを通じて、農業や林業の衰退により失われてしまった日本の原風景である里山の復活や、自然と共存し、森や林の樹々に癒されてきた人間本来の姿を取り戻すための大きな可能性を見つめている。
“現在のゴルフ場のあり方をすべて礼讃するつもりはないし、様々な問題点も抱えている”としながらも、一方的に「反ゴルフ場」をヒステリックに唱えるのではなく、ゴルフを取り巻く環境とゴルフ場の運営システムを上手く活用することで、“里山の自然と人間の暮らしの共存”という「折り合い」を現実的に考える筆者の言葉に共感を覚えた。
ゴルフは素晴らしいスポーツだと思う。ゴルフが好きな人なら誰しもそう思っているはずだ。そんな感動を与えてくれる野山の自然に、感謝と敬意の気持ちを忘れず、ゴルファー自身が一人でも多く環境に対する配慮と意識を高め、ゴルフそのものが「環境と人間の共存」という大きな課題の成功事例として存在できるようになれば、これほど素晴らしいことはないだろう。

ちくま新書刊:
田中淳夫著「ゴルフ場は自然がいっぱい」
740円
(グラスルーツ 編集部)

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